水野友有
水野 友有(みずの ゆう)
プロフィール
博士(学術)。中部学院大学人間福祉学部教授。「心理学」「発達心理学」「情報活用論」などを担当。障がいのある人の表現やその発達、文化芸術を活かしたケアの研究に取り組む。旅と刺繍とお酒を愛で、ときどきチェロ弾きの修行をしている。器のように「与格的主体」として生きるのがモットー。
1.研究テーマ
私は、社会によって引かれた境界線を少しずつ滲ませることをテーマに、街や福祉現場に入りながら、人の「表現」を対象に研究しています。幼い頃から、いわゆるマイノリティの立場にある人に強い憧れがありました。多数派ではなく、常に少数派の側から世界を見てみたいという思いがあり、高校時代には、現在でいうLGBTQの存在に関心を持ち、同性愛について本を読み考え続けていたことを思い出します。
進路は全く順調ではなく、第一志望の大学に落ち、浪人を経て第三志望の大学に進学しました。しかし、大学院の博士課程では、目指していた以上の環境の中で霊長類研究と出会い、「人間とは何か」という大きな問いを受け取りました。その後改めて、障がいのある方たちの表現や生に触れる中で、「障がい」という切り口の中にこそ他者と共に生きるヒントがあると確信するようになりました。現在は、東京藝術大学との共同研究として、文化や芸術を通して人の生きづらさを支える「文化的処方」の研究と実践に取り組んでいます。
2.授業づくりで大事にしていること
授業づくりで大切にしているのは、自分自身が「楽しい」と思える話題を提供することです。大学教員になって数年目に学生から、「先生、楽しそうですね」と言われ、「これだ!」と気づきました。楽しさや面白さは人に伝わり、「学びたい」という意欲を生みます。どの科目でも具体的な事例や簡単な実験を取り入れ、学生の生活や体験と結びつけながら理解できるよう工夫しています。知識を得るだけでなく、学びと自分の人生をつなげ、人生を面白がるヒントになるような授業を目指しています。
3.学生からみた先生(2023年度生 酒井杏奈さん)
1年生基礎ゼミの皆さんが地域でサーキュラーエコノミー活動に取り組む卒業生とTシャツからエコバックを創るワークショップを行った時の様子
水野先生は、学生一人ひとりが学びたいことや調べたいことに真剣に向き合い、丁寧にサポートしてくれる先生です。難しい内容でも図を使ったり道具を使ったりして分かりやすく説明してくれるので理解しやすいです。また授業以外でも個人的な相談にのってくれるため、気軽に話しかけることができます。気軽に相談しやすい身近な立場でいてくれる先生だと感じています。
4.学生時代はどんな人だったか
今と変わらず、どこまでも自由な学生でした。教員免許を取得できる学部に在籍していましたが、「ゼロ免制度」を利用し、友人たちが教育実習に行っている間は教授の研究室に通い、対話の時間を過ごしていました。就職活動もせず大学院へ進学しました。後に学会で再会した当時の学部長から、「その制度を使ったのは、後にも先にも水野さんだけでした」と言われ、自分は相当困った学生だったのだなぁと思いました。高校までは吹奏楽部でしたが、当時理不尽に思えたスポーツでの「厳しさ」を理解したいと考え、大学では体育会系スキー部に入り、過酷なクロスカントリー競技に挑戦しました。最終的には部長も務めましたが、結局、疑問を抱いていた「厳しさ」の意味は全く理解できず、やはりスポーツも、楽しさと内発性を前提に「遊び」として成り立つものだと実感しました。この経験は今の教育観や人生観の大きな土台となっています。
5.学生に期待すること
福祉とは、「明日も生きてみようかな」と思えるように支えてくれる人生の味方だと私は考えています。大学で多くの人や価値観にふれ、快適な場と「味方」を増やしながら、自分自身を存分に解放していってほしいと願っています。
柳ヶ瀬商店街で岐阜県の文化リンクワーカーの皆さんとアートワークショップを実践した時の様子
月に1回は美術館や博物館で英気を養っている(北海道・安田侃彫刻美術館にて)